【長崎古版画】『第1集・蘭人饗宴之図』3色摺り 単品 H_002 長崎古版画は百数十年間大切に保存されてきた版木(現在は長崎市立博物館所蔵)から、長崎最後の摺師武田紫鼓師の手により摺られた完全復刻版です。版木の傷みを考慮して当時200組が摺られています。版木の状態と摺師の存在を考えれば、今後摺られることはないでしょう。 この絵は林子平(1738-1793)が、長崎の出島おらんだ商館を訪れ、カピタンからもてなしをうけた時に写生したものうぃ、のちに自ら板木を彫り自ら摺ったもので、左側の椅子に座するものがないのは、子平自らの座で写生するため椅子をはなれたものだと言われますが、しかし、そのころ蘭商館に出入りするには非常に難しい制限があり、通詞その他特定の地役人と、その使用人に限られていましたので、司馬江漢はじめオランダ風俗や洋風画にあこがれをいだいた画人たちが自らこれを写生しようとすれば、大てい地役人の下僕をよそおうて入りこんだものでした。 この図は長崎古今集覧名勝図会の槁本にある阿蘭陀屋敷饗宴の図と参照するとき、名勝図の方は、おらんだ冬至(クリスマスのこと)の習慣通りボアズ・ヘッド(猪の頭、実は豚の頭で代用)を卓上に飾ってあるのに対し、ここでは子牛の頭を飾っています。 長崎在住のおらんだ人の食用牛は年数頭と限られていましたから、これを用いたのは、よほど公式の盛宴に違いなく、そうなれば林子平列席説は少し怪しくなります。 なお、この図では給仕のジャガタラ黒ん坊二人(原文まま)のインドネシア族らしい表現 毛髪の特徴、下級のジャワ更紗の模様などが写実的に描かれています。 ■長崎市立博物館所蔵の長崎版画を版木に依り完全復刻 ■摺 師:武田紫鼓師(長崎最後の摺師) ■制作日:昭和三九年九月十日着手、十二月十二日完成 ■制作数:限定二百組のセットバラシ単品 ■台紙サイズ:横50×縦36㎝ ■摺紙サイズ:横42×縦32㎝ ■摺数:3版・3色摺り ■状態:摺り・保存は良好ですが、年代物につき汚れヤケ等は写真にてご確認ください。 #NEZU版画・絵画 #NEZU長崎古版画
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